平成14年度の研究
 
1)研究主題(第11次)
 
「情報化社会を主体的に生きる力を育てるために,
視聴覚教育の果たす役割を追究し,その実践をひろげよう」
 
2)研究主題設定の理由
 
 今,子どもたちに「生きる力」を育成することが求められている。これまで,本研究会では,「生きる力」の柱の一つである『自ら意欲的に学び,主体的に考える子どもの育成』をねらいとし,視聴覚研究団体の立場から,子どもたちがコンピュータや情報通信ネットワーク等の情報手段に慣れ親しみ,適切に活用する学習活動を充実し,視聴覚教材や教育機器等の教材・教具の適切な活用を図るための方法を探る実践を進めてきた。情報手段や視聴覚教材等を子どもたち自らの意志と判断で使いこなす力は,子どもたちが自身の興味関心にもとづいて課題を見いだし,主体的に追究していく学習活動に際し,有効な手段のひとつになりうると考えたからである。
 加えて,情報化社会を主体的に生きる力を育てるために,テレビや新聞をはじめとするさまざまな媒体(メディア)から情報を読みとったり,批判したり,自分がメディアを活用して情報発信する力を身につけさせることも,これからの社会を生きていく上では避けて通れない課題であると考えた。
 そこで,「情報化社会を主体的に生きる力を育てるために,視聴覚教育の果たす役割を追究し,その実践をひろげよう」を研究主題と設定した。
3)研究構想図


4)研究の柱
 本研究会では,第11次研究計画から今日的課題に迫る実践を形成するために,以下に示すような「研究の柱」(表@)と,「問題解決過程と情報手段」(表A)を策定した。
 
<表@:研究の柱(平成14年度版)>
問題解決的な学習活動における情報手段の活用
メディアの活用 映像(画像) メディアリテラシー
子どもたちがメディアに慣れ親しみ、適切に活用する学習
 
子どもたちが主体的に映像(画像)を読み取ったり、つくったりする活動
 
子どもたちがメディアの情報を批判的に読み取り、読み取ったことを使ったり、表現したりする活動
 
 「情報化社会を主体的に生きる力を育てる」ためには,従来の,教師から学習者に効率よく知識を注入していく学習とともに,学習者自身が問題を見つけ,よりよく問題を解決していこうとする態度や能力を身につけていく学習を併せ行っていく必要がある。学んだ知識(内容知)は時間とともに変化するが学習への態度や問題を解決していくための能力(方法知)は,未知の課題に対しても柔軟に対応できうる力となるからである。こうした学習の形態として,問題解決的な学習があると考えた。
 さらに,情報化社会の中でよりよく問題解決していく際,周囲の人の知識や発想を取捨選択して活用するという考え方,及び,問題解決の過程を逐次記録し適宜自らを振り返ることにより,解決の方策をよりよくしていくことができるという考え方がある。
 他者の知識や発想を参考にしたり,問題解決過程を振り返ったりする際,様々な情報手段を駆使できる能力が,「情報化社会を主体的に生きる」ために求められている。
 そこで,研究の柱を「問題解決的な学習活動における情報手段の活用」と設定し,以下の3点を重点項目とし,授業実践を進めていくこととした。
 第一の重点項目では,情報手段として様々なメディアを取り上げ,子どもたちの発達段階に応じて,それらに慣れ親しんだり,適切に活用する学習を想定した。
 第二の重点項目では,情報手段を介してやりとりされる映像や画像にスポットを当てた学習を想定している。
 第三の重点項目では,子どもたちが受け取った情報を鵜呑みにしない力を付け,読みとった情報を使ったり表現したりする力を付ける学習を想定した。
<表A:問題解決過程と情報手段>
低学年 中学年 高学年
活動のねらい 情報手段 活動のねらい 情報手段 活動のねらい 情報手段






つかむ
とりくむ
まとめる
 
5)研究推進委員会組織
理論構成部 研究主題に基づいた実践を心がけ,日々進化していく情報機器や,その機能について研修を重ねる。また,研究主題の重点について原案提出,全体研修会の企画運営,授業研究会における研究協議会を担当する。
授業構成部 研究構想図に基づき,授業実践を通した活動を進めながら,活動計画の立て方,有効な機器利用等を明らかにしていく。年間5回の授業研究会を進めていく。 映像研究部
映像について認識を深め,児童も教師も授業の中でよりよく活用できるよう,実践を重ね研究を進めていく。
メディア研究部
情報機器の特性を生かし,学習のねらいに応じた活用方法について,実践を通して研究を進めていく。